スマホやタブレット端末など小型・薄型・多機能化に対応 

高周波デバイス、進む極小化・高機能化
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 高周波デバイスは、スマートフォンやタブレット端末などの小型、薄型、多機能化の進展を背景に、小型化、モジュール化に向けた新製品開発が活発化している。個別部品は極小化。モジュールは小型、薄型で高機能化を推進。マテリアル、プロセス、評価といった総合的な技術がサポートする。

 スマートフォンやタブレット端末の小型、軽量化で、多機能化に向けた新製品開発に対して、コンデンサ、インダクタ、抵抗器をはじめとする回路部品の小型化技術が飛躍的な進歩を見せている。チップ抵抗器、積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ、さらには、サーミスタ、バリスタなどは0603サイズから0402サイズにシフト。

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アレイ化技術も進展
ノイズ対策といった複数ラインへの対応としてアレイ化技術の進展も目覚ましい。抵抗器、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、LCノイズフィルターなど、2素子、4素子を1つの部品にしたアレイは、搭載部品点数を削減でき、高密度実装化に貢献する。

RF回路に使われる高周波デバイスの小型化技術も高度化している。コンデンサは積層セラミックコンデンサが一般的に使用されてきたが、最近では高精度の薄膜コンデンサが開発された。BPFとして利用される積層誘電体フィルターは2×1.25ミリメートルサイズ程度まで小型化。さらに、水晶振動子は2×1.6ミリメートルサイズ、1612サイズの量産が始まった。1210サイズについても生産体制を整備している。SAWデバイスは、これまでのパッケージングに加え、WLP構造を採用することによって、超小型、薄型化を実現した例も見られる。

アンテナは、セラミック材料による超小型のSMD単機能アンテナやセラミック混合樹脂材料および三次元電極形成技術による筐体組込みアンテナなどの小型化が進む。デュアル、トリプルといった複数の周波数帯に1個のアンテナで対応する複合小型タイプの開発が活発化している。

スマートフォンやタブレット端末などでは、RF回路をはじめ、ブルートゥース、W―LAN、WiMAX、GPS、ワンセグチューナ、ZigBee用など、各種モジュールが搭載される。

これまでのモジュールは薄型で小面積の基板による微細パターン化、超小型、薄型部品の搭載によって、小型、高機能化を推進してきた。ここにきて部品内蔵基板技術を用いるケースが増えてきた。

部品内蔵基板は、多層板の内層回路に電子部品や半導体を印刷形成したものや電子部品や半導体を埋め込んだものなど、様々な技術開発が進んでいる。基板は、FR―4グレードの銅張積層板を用いたものが一般的だが、最近では銅コアを内蔵した回路基板やコアレス回路基板などを用いた部品内蔵基板が登場している。

樹脂系部品内蔵基板は、多層化については基板全体を薄くするためにビルドアップ工法が用いられ、パターン形成に一般的なサブストレート工法を使う。微細化をするためにはアディティブ工法を採用することによって、L(ライン)/S(スペース)=25μm/25μm程度まで超微細化が可能とされる。

内蔵するSMDは、標準サイズに加え、超薄型の基板内蔵用の開発が活発化している。例えば、回路基板内蔵用積層セラミックコンデンサは誘電体セラミックの粒子を均一形状で小型化し、1層当たりを薄型化し層数を高多層化することで、薄く、大容量化が可能になる。最新技術としては1005サイズで0.05ミリメートル厚コンデンサは0.1μF、0603サイズの0.05ミリメートル厚では0.01μFを実現。

また、チップ抵抗器では厚み0.15ミリメートルの製品が登場した。電極も基板内蔵に対応して銅電極を採用し、基板内で銅メッキ接続を可能にしている。

半導体デバイスの内蔵化は、EWPを用いている例が多い。その中で、最近では半導体パッケージを特殊な技術で薄型にして利用する技術も開発された。