スマホなど電子機器に加え、環境・エネ分野でも重要性高まる 

ノイズ対策技術、より高度化
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 電子機器や自動車の新製品開発が活発化していることを背景に、ノイズ対策技術の重要性が一段と高まっている。特にスマートフォンやタブレット端末などは、利用周波数の高周波化および多様化、信号処理の高速化を伴いながら新製品開発が活発化。また、太陽光および風力発電をはじめとする環境、エネルギーに関連する分野でも新たなノイズ対策技術が求められるようになった。世界のノイズ規制に適合した最適なノイズ対策ソリューションが追求される。

 ノイズ対策は、外部に電磁波の影響を及ぼさないEMI対策と、外部から電磁波の影響を受けないようにするEMS対策をあわせたEMC対策が基本。製品の設計、開発段階からのノイズシミュレーションの重要性が高まっており、最終製品の段階では世界のノイズ規制に適合した対策を施す必要がある。

 モバイル機器ではスマートフォンや、タブレット端末の普及に加速がついている。これまでの携帯電話に比べ、小型で多機能化しているため、より高度なノイズ対策技術が求められる。

LCフィルター、薄膜タイプが充実
ノイズ対策部品は、コンデンサ、コイルを基本にLCフィルターなどが一般的に用いられている。いずれも小型、低背化が求められる。サイズでは0402サイズまで小型化が進展。積層セラミックコンデンサは、小型大容量と低ESL特性を両立したLW逆転タイプ、3端子貫通タイプ、さらには複数ラインのノイズ対策が可能なアレイタイプなどが採用される。コイルでは巻線タイプに加え、積層タイプの小型化に向けた開発が活発化している。

LCフィルターは、最近では薄膜タイプでの品ぞろえが充実してきた。これは高速差動伝送ラインの対策で有効になるため。薄膜技術によって、LCフィルターでも複数ラインのノイズ対策を施すことが可能なアレイタイプがコネクタや液晶ラインなどで採用されている。

こうした部品に加え、最近ではノイズ抑制シートが注目されている。ノイズを内部に取り込み、シートの磁気損失よって減衰(吸収)させるもの。厚さ25μ―1ミリメートルのシートをノイズの発生源や伝搬路に貼るだけで、効果的にノイズを抑制する。半導体パッケージ上への貼り付けをはじめ、フレキシブル配線板のファインパターン上を覆うなど、利用が広がってきた。

一方、太陽光及び風力発電、HEV、PHEV、EVといった自動車など、特にエネルギー、パワーエレクトロニクス分野でのノイズ対策の重要性が高まっている。これらに共通しているのは、創エネ、蓄エネ、省エネ、活エネ。いずれもインバータをはじめとする電源技術の台頭であり、ノイズ対策技術の高度化が期待されている。

その中で、箱型パワーラインノイズフィルターは、小型で高減衰化を推進するために材料から部品、さらには回路構成まで新しい技術が相次いで開発されている。同フィルターは、一般的にフィルムコンデンサとフェライトコアベースのコイルから構成。高減衰タイプについては平板の銅線を縦巻したタイプ、さらにはフェライトに代わるコア材としてアモルファスやメタル系コアを使用した例も少なくない。

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1個でノイズ対策と雷サージ対策
 さらに、高機能化を追求。新たに複合機能型ノイズフィルターが開発された。これはLCノイズフィルターに雷サージ、コンデンサなどの機能ユニットを装着した製品。ノイズ対策とともに雷サージ対策も1個のフィルターで処理するもの。

 太陽光発電ではパワーコンディショナという電源が用いられる。ノイズフィルターはこのパワーコンディショナを挟んで、発電パネル側のDC側ノイズフィルター、系統(負荷)側のAC側ノイズフィルターが用いられる。

 さらに、インバータに絡んだリアクタやチョークコイルなども新製品開発が活発。いずれもコア材料、コア形状、巻線工法などの最適化でノイズ対策の最適化を目指している。リアクタは、メタル系コアを採用し、平角線を縦巻きにするエッジワイズタイプの採用が活発化。今後はスイッチング素子のIGBT化など、高周波化にともないフェライトコアの広がりが期待されている。