【モジュール用基板】ICや部品内蔵で小型・高機能化
【カード用コネクタ】超薄型と信頼性両立した製品開発

モジュール用基板の動向

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 電子回路基板は新技術、新市場に対応した技術開発が進展している。携帯電話をはじめ、様々な電子機器に搭載されているモジュールの小型、薄型、高機能化に向けた新技術も相次いでいる。特に基板厚を薄くした中で、微細パターン化、多層化、小径ビア化などを融合、ビルドアップ多層板での技術が高度化。さらには一歩進めてICや部品を内蔵する部品内蔵基板、異種材質を同時に焼結する高度な技術を使った低温焼結セラミック基板(LTCC)など、様々な小型、薄型の高機能モジュール用基板技術が出現してきた。

  高機能モジュールでは、樹脂系基材を用いたプリント配線板としてビルドアップ技術の進展で、小型、薄型、軽量化を推進してきたが、部品内蔵基板の適用でさらに小型面積で高機能化を実現しようとの動きが活発化してきた。

  部品内蔵基板の場合は、FR―4グレードなどのガラスエポキシ銅張積層板を使用。小型基板から回路規模が複雑な比較的に大型基板までカバーできる。多層化にはビルドアップ工法を用い、プリント配線板製造プロセス上で、抵抗器やコンデンサ、インダクタなどの受動部品、さらにはWLP(ウエハーレベルパッケージ)やベアチップを基板に内蔵することで、その上部全面に配線層が設けられ、ICチップやICパッケージ、または抵抗器やコンデンサなどの受動部品を3次元実装することが可能。基板面積の小型化で多層化を適用すると同時に、パターン形成の微細化も推進。L(ライン)/S(スペース)=30μm/30μmに向けた微細化技術の高度化が求められており、パターン形成には一般的なサブトラクティブ工法に代え、アディティブ工法が適用される。

  この部品内蔵基板に内蔵する部品の薄型化技術も進展している。最新としては積層セラミックコンデンサでは1005サイズで0.05ミリメートル厚コンデンサは0.1μF、0603サイズの0.05ミリメートル厚では0.01μFを実現。チップ抵抗器も0.15ミリメートル厚以下の0603サイズおよび1005サイズ品が登場した。

【LTCCの採用広がる】
  モジュール基板として従来から使用されてきたセラミック基板では、LTCCの採用が広がっている。LTCCは、一般的なアルミナが約1500℃の高温で焼成されるのに対して、900℃以下の低温で焼結可能なことから、電極をはじめとする異種材料を同時に焼結できるのが大きな特徴。これによって、抵抗やコイル、コンデンサといった受動部品を構成できる。

  技術的には機能内蔵化と同時に微細化の進展で、小型でありながら高機能、多機能化に向けた動きが活発化している。パターン形成には厚膜技術が用いられ、パターンピッチは一般的に100―120マイクロメートルだが、薄膜技術とフォトリソグラフィ技術を利用することで、同20マイクロメートルの微細パターン形成が可能になった。

モジュール用基板の動向

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 携帯電話やDSC、ノートPCなど多くのモバイル機器にメモリーカード用スロットが標準搭載されている。カード用コネクタへの技術要求は、薄型化や高速大容量化に加え、耐落下衝撃性や複合カード対応など高度化している。このため、カード用コネクタメーカーは多様な要求に対応する新製品開発やラインアップ拡充を進めている。

【メモリーカード】
  メモリーカードはNAND型フラッシュメモリーを使用したストレージメディア。電気を切ってもデータが保持され、書き換えが可能。半導体のため小型・軽量であり、読み込み、書き込み速度がHDD(ハードディスク駆動装置)などに比べ高速で、物理的に丈夫なため、モバイル用途に適している。

  超微細加工技術や高密度パッケージ技術の進展で大容量化が進み、最近はギガバイトクラスのメモリーカードでも低価格で購入可能になっている。

  メモリーカードには、SDカード、メモリースティックをはじめ多くの種類がある。近年は携帯電話に適したmicroSDカードなど超小型カード需要が拡大している。SIMカードやSIMカードにフラッシュメモリーを付加したMegaSIMカードの採用も広がっている。

【カード用コネクタの種類】
  コネクタ各社は、各種仕様に準拠したメモリーカード用コネクタのバラエティ拡充に力を注いでいる。小型薄型化に加え、操作性向上のためのカード排出(イジェクト)、カード脱落防止、ハーフロック、無理抜き防止機構などの機能が付加されている。厚さを極限まで薄型化した基板落とし込みタイプや、耐振動、耐温度特性を考慮した車載用も開発されている。特に最近は超薄型化と信頼性の両立が大きなテーマ。

  薄型ながら十分な強度や耐落下衝撃性を兼ね備えた製品開発が進展している。また、大容量化や転送速度向上に向けた次世代カード仕様策定も進み、これらに照準を合わせたコネクタ開発も進んでいる。仕様が異なるカードに1つのコネクタで対応するコンバインコネクタも要求され、携帯端末用の3in1やプリンタ用の5in1などが製品化されている。