特集:カード用コネクタ技術

microSDカード用 高さ1.6ミリ、カードイジェクト量5.8ミリ

 携帯電話、デジタルスチルカメラ、小型携帯音楽プレヤー等に搭載されるメモリーカードの需要は年々増加傾向にある。カードの小型化、記憶容量の増大、低価格化が進むにつれ、市場での普及や機器への搭載率が急激に増加しており、ホシデンとしてもこの市場に注力すべくメモリーカード用コネクタ、アダプタの開発を進めている。


【写真1】CCD1350シリーズ


【写真2】CCD1360シリーズ


【写真3】CCD1361シリーズ

【写真4】CCD1363シリーズ

<microSDカードコネクタ>

 弊社のmicroSDカードコネクタを紹介する。

・CCD1350シリーズ(写真1)
  プッシュロックプッシュイジェクト方式。ノーマルマウントタイプ。基板の省スペース化に貢献。

・CCD1360シリーズ(写真2)
  プッシュロックプッシュイジェクト方式。ノーマルマウントタイプ。カード検出スイッチ付き。ホシデン独自のカード飛び出し防止機能付き。

・CCD1361シリーズ(写真3)
  プッシュロックプッシュイジェクト方式。リバースマウントタイプ。カード検出スイッチ付き。ホシデン独自のカード飛び出し防止機能付き。

・CCD1363シリーズ(写真4)
  プッシュロックプッシュイジェクト方式。ノーマルマウントタイプ。カード検出スイッチ付き。ホシデン独自のカード飛び出し防止機能付き。

  コネクタ高さは、プッシュロックプッシュイジェクト方式では業界最薄の1.6mm Max を実現。幅14.1mm(カバー補強端子部を除く)、奥行き14.65mmで基板の省スペース化に貢献しており、独自のカード飛び出し防止機能、カード逆差し防止構造を持ち、低背設計を実現させるためにインサートモールド方式を採用している。また、ケースの剛性を向上させるため、出来るだけ天面の開口部を少なくし、コネクタ後ろ側をフラットとし基板レイアウト設計に配慮している。カードのイジェクト量は5.8mmを確保しコネクタの配置に対するセット設計の自由度が高い。


<メモリースティックマイクロ(M2)カードコネクタ>

  弊社で開発を進めているメモリースティックマイクロ(M2)カード用コネクタについて紹介する。

  PCBへの実装はすべてSMTとし、コネクタ占有容積を削減しながらも、カードの挿抜を容易に行えるプッシュロックプッシュイジェクト方式を採用している。独自のカード飛び出し防止機能、カード逆挿入時のコネクタ破壊防止機構を備え、ノーマルマウントタイプとリバースマウントタイプを開発している。

・ノーマルマウントタイプ
  業界最低背クラスのコネクタ厚み1.75mm。

・リバースマウントタイプ(写真5)
  コネクタ厚みを1.9mmとし、リバースタイプでありながら、コネクタの薄型化を実現。

【写真5】メモリースティックマイクロカードコネクタ・リバースマウントタイプ

<カードコネクタ設計ポイント>

  セットの低背、小型化に伴いカードコネクタは極限まで小型化を追求した製品が必要となり、弊社としても、過去からの技術ノウハウを生かして新製品を開発している。

  コンタクト形状については、モールド薄肉部でのコンタクト保持強度を満足させる最適な形状を応力解析シミュレーションにて設計しており、金属材料の検討も積極的に進め、少ないスペースの中での接点の信頼性を向上させている。

  モールド部分に関しては、極限まで薄く成型する必要があり、最新のエンプラ材料を活用するとともに、流動解析シミュレーションを取り入れている。成型方法についても、コンタクトをインサート成型することにより、低背でありながら十分な強度を確保している。

  さらに、カードの逆差し防止構造およびカード排出時にカードの紛失を防ぐためのカード飛び出し防止機能を盛り込むことが必須となっている。

<今後のカード用部品の取り組み>  
   
  ホシデンの今後のカード用コネクタの取り組みは市場での使い勝手を考え、2種類以上のカードが使用できるコンビネーションタイプの開発を検討している。また、新カード規格、セットの動向に注視し、お客様の多様な要望に満足できる製品を開発し、その開発に必要な新技術、新材料の要素技術、加工技術の研究も継続して進めていく。


  <石橋隆司:ホシデン(株)第1事業部第2技術部>