JEITAの半導体開発
「新再生構想」



電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会(部会長=伊藤達ルネサス テクノロジ社長)はこのほど、日本半導体産業の復活を目的とする「第2次SNCC(半導体新世紀委員会)」構想に基づく2006年度以降の共同研究開発体制を発表した。同構想の基本は、06年度から10年度までの5年間にわたる取り組みとして昨年6月に提言されたもの。

<第2次SNCC提案の背景>

日本の半導体技術の競争力強化に向けて、次の点を挙げている。

〇半導体はシステム機器の競争力を決める中枢。ユビキタスネットワークなどの新しい応用市場の開拓。

〇課題は強い製品戦略の再構築

〇先端LSIのプロセス技術・設計技術は大きな変革の時代を迎えており、ブレークスルー技術への挑戦が不可避

〇ビジネスモデルの多様化が進み技術ニーズも多様化

〇あすかプロジェクトは06年3月終了。しかし技術革新の速度は速く、産業界の力を結集することによる先行技術基盤の強化が必要。

〇CMOS技術の限界を控え、国を挙げた技術革新が必要。先端半導体研究開発に対する産学官連携のさらなる強化と研究開発システムの再構築が必要。

90/65ナノメートルSoCプロセス・設計技術の確立に取り組んできた“あすかプロジェクト”が06年3月に終了することを受け「国を挙げた技術革新への挑戦が必要。

先端半導体研究開発による産学官連携のさらなる強化と研究開発システムの再構築をはかる」(伊藤部会長)(図1)。


〔図1 2006年以降(hp45nmノード以降)のプロセス技術課題〕

<具体策>

◇先端半導体技術の共同研究開発プログラムの再構築

(1)母体となる研究開発拠点のSelete(導体先端テクノロジーズ)は06年4月以降、半導体プロセス開発拠点としてコアカンパニ主導による新プログラムをスタート。また、MIRAIなど国家プログラムとの間で新たな産学官連携システムを構築。

(2)STARCは06年4月以降、半導体設計開発拠点として機能強化。

(3)ASPLAは、300ミリメートル対応90ナノメートルの業界標準プロセス開発を計画どおり終了の見込み。65ナノメートル対応は、90ナノメートルノードの延長で各社開発。 ◇コンソーシアムのマネジメント方法の変更

従来の11社共同による共通プログラムに加えて、先端プロセスを志向する企業の主導による先端コアプログラム(参加企業=コア企業)および融資企業の主導による選択プログラムを創設。

開発スピード向上とニーズ多様化に対応。

新コアカンパニはルネサス テクノロジ、NECエレクトロニクス、東芝、富士通の4社を予定。

新Seleteは06-10年度、カンパニ制によりhp(ハーフピッチ)45/32ナノメートルに対応する新技術候補の実用化研究開発プログラム開始。総開発費は年100億円(現在の150億円規模に相当)、5年間で500億円を計画。

さらに、新Seleteは、EUVのリソ・マスクプロジェクトの一部には40億-50億円程度の国の支援を期待している。

<つくばR&D センター構想>
 
茨城県つくば市には、日本における先端半導体プロセス研究開発の産学官拠点(つくばR&Dセンター)を構築する(図2)。


〔図2 ”つくば”における新R&D体制およびプロジェクト〕

<STARC新プログラム>
 
また、半導体設計技術の開発拠点としてSTARC(半導体理工学センター)も新共通設計基盤開発に着手する。

これに要する総開発費は年50億円、累計250億円を計画している(図3)。


〔図3 STARC新プログラム〕

<資料:JEITA>